【チャイコフスキーとシベリウスが生まれた国  〜ロシアとフィンランドの基礎知識〜】  第1回

 

ヨーロッパの中心がローマ教皇の在所ヴァチカンだとすれば、

ロシアもフィンランドもその中心地とは程遠い。

 

だが、この二つの国は極めて近くに位置する。

隣近所だといってもいい。

 

ヘルシンキとサンクトペテルブルクとは直線距離でいえば東京、大阪間ぐらいである。

近いが故にフィンランドはロシア領だったこともありその建国は遅い。

また、一方のロシアにしても決して古い国ではない。

 

どちらの国も、所詮ヨーロッパの輝かしく栄えた都市部からは遥かに遠く、

長い間、化外の地との印象をもたれていたことであろう。


本来、音楽そのものは都市文明の発達に関係なく、

どんな時代にもどんな地域にもあった。

農村の歌、船乗りの歌、祭囃子、子守唄に至るまで枚挙にいとまがなく、

これらは、環境や洋の東西を問わずに存在する。

 

音楽は、生活の礎である衣食住そのものではないのだが、

どういう訳か、人として暮らすのに無くてはいられないものらしい。


このような形で、人の本能に近いところで口ずさまれていた調べも、

やがて都市文化の一つとして実に長い道のりを経て磨かれ、練度の高いものへと成熟していった。

こうして発展し、複雑に出来上がった音楽のことを呼ぶのに、

私たちはクラシック音楽という実に不正確で曖昧な呼称を用いている。


そういった意味での音楽がロシアやフィンランドで成立するのに、

ヨーロッパの中心付近の国々よりも時間がかかったであろうことは容易に想像できる。
 

次記事第2回 ロシアの出発点 〜キリスト教を取り入れて〜

 

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【チャイコフスキーとシベリウスが生まれた国  〜ロシアとフィンランドの基礎知識〜】 

はじめに

第1回 隣近所のロシアとフィンランド 〜音楽の中心地ヨーロッパは遠く〜

第2回 ロシアの出発点 〜キリスト教を取り入れて〜

第3回 ヨーロッパと分かれていくロシア

第4回 宗教芸術の違い 〜芸術として発信するか否か〜

第5回 東方正教の宗教芸術 〜美術的価値尺度で発信をしない〜

第6回 東方正教の音楽 〜楽器使用の禁止、声楽だけ〜

第7回 ロシアの鐘 〜日本で一般的にイメージする「教会の鐘」と異なるトレズヴォン〜

第8回 西欧音楽の伝来 〜グリンカを経てチャイコフスキーへ〜

第9回 フィンランドの出発点 〜スウェーデン支配によるキリスト教化〜

第10回 フィンランドを巡る戦い 〜シベリウスの時代に至るまで〜

第11回:最終回 フィンランド人の民族意識 〜シベリウスも題材にした 叙事詩「カレワラ」〜

2018年10月28日(日)演奏会に向けて、
常任指揮者・高橋俊之が演奏曲に関することをまとめました。

このサイトをご覧のかたに、連載形式でご紹介いたします。

 

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チャイコフスキーとシベリウスが生まれた国
〜ロシアとフィンランドの基礎知識〜

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ヨーロッパの中心付近の国々は

ルネサンス時代以前から高度な芸術、学問があふれていて世界の最先端であった。

 

しかし、ロシアにしてもフィンランドにしても、その成り立ちを見れば、

19世紀後半になってようやく国際的な作曲家が輩出できるような環境になったように思われる。

 

イタリアやドイツの一作曲家などとは違い、

チャイコフスキーやシベリウスの名は彼らの国にとってより重みがあり、

今も尚、国を代表しているのであろう。

 

次記事第1回 隣近所のロシアとフィンランド 〜音楽の中心地ヨーロッパは遠く〜

 

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【チャイコフスキーとシベリウスが生まれた国  〜ロシアとフィンランドの基礎知識〜】 

はじめに

第1回 隣近所のロシアとフィンランド 〜音楽の中心地ヨーロッパは遠く〜

第2回 ロシアの出発点 〜キリスト教を取り入れて〜

第3回 ヨーロッパと分かれていくロシア

第4回 宗教芸術の違い 〜芸術として発信するか否か〜

第5回 東方正教の宗教芸術 〜美術的価値尺度で発信をしない〜

第6回 東方正教の音楽 〜楽器使用の禁止、声楽だけ〜

第7回 ロシアの鐘 〜日本で一般的にイメージする「教会の鐘」と異なるトレズヴォン〜

第8回 西欧音楽の伝来 〜グリンカを経てチャイコフスキーへ〜

第9回 フィンランドの出発点 〜スウェーデン支配によるキリスト教化〜

第10回 フィンランドを巡る戦い 〜シベリウスの時代に至るまで〜

第11回:最終回 フィンランド人の民族意識 〜シベリウスも題材にした 叙事詩「カレワラ」〜