多摩管弦楽団第46回定期演奏会で 1曲目に演奏するシベリウス《春の歌》。

 

初めて聴く方もそうでないかたも、

少しでも親しみを増して聴いていただけますと幸いです。

 

常任指揮者・高橋俊之による解説【シベリウス:春の歌】

 

この曲は1894年「即興曲」として作曲されたが、あまり評判が良くなく、翌年大幅に手を入れてこの「春の歌」というタイトルでリニューアルした。


フィンランドは同緯度に位置する他の国よりは幾分温暖だといわれている。それでも、冬は日本や西ヨーロッパなどよりもかなり厳しい。日照時間が短く、南部であっても10月末頃から約5か月間、40僂曚廟僂發辰神磴紡臙呂閉ざされる。春の始まりというのはまだまだ厳しい冬の延長線上でしかないが、大きな樹木の周りにほんの少し土が見えてくる。

 

北国の人々は、完璧に大地を支配していた雪が見せた隙を見逃さず、春の訪れを期待する。


この曲の冒頭も、ようやく厳しい冬がほころんだところから始まる。少しずつではあるが、後戻りをせずに春に移り行く流れが感じられる。やがて、冬の間に止まっていた世の中のあらゆるものが、取り戻した日差しの下に徐々に動き出していく。春の動きが積み重なり、賑わい、冬は遠のいていく。

 

クライマックスは春の象徴である復活祭の鐘が鳴り渡る。復活祭(イースター)はキリスト教の最大の祝日で、春分の日を過ぎた最初の満月に最も近い日曜日と定められている。今年は4月1日であったが、来年は4月21日である。キリスト教徒の多いヨーロッパの人々なら、春の場面で鐘の音が鳴れば、疑いなく復活祭を連想するはずである。